先進国株(米国以外)vs 米国株|ヨーロッパ・先進国への投資は意味があるか【投資比較シリーズ③】
カテゴリ:米国株・投資比較・先進国株
はじめに|「全世界株式」に米国以外が含まれる意味はあるのか
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を積み立てている方はご存知の通り、このファンドには米国以外の先進国も含まれています。
日本・ドイツ・フランス・イギリス・カナダ・オーストラリア——これらの先進国株式は、インデックスファンドの中に「自動的に含まれている」存在です。
では、米国以外の先進国への投資には、どんな意味があるのでしょうか。
今回は米国以外の先進国株式(主に欧州・先進国アジアなど)とS&P500を比較し、その特徴と役割を整理します。
「先進国株式」とは何か
先進国株式とは、一般的にMSCI ワールド・インデックスなどが対象とする、経済的に成熟した国々の株式市場を指します。
代表的な構成国は以下の通りです。
【先進国株式インデックスの主な構成国】
米国 :約70%(圧倒的シェア)
日本 :約6%
イギリス :約4%
フランス :約3%
カナダ :約3%
ドイツ :約2.5%
その他先進国:残り約11.5%実は「先進国株式インデックス」の約70%はすでに米国株で占められています。つまり先進国インデックスを買うことは、「大部分が米国株、残りが欧州・アジア先進国」という構成への投資です。
基本データの比較
長期リターンは米国株が圧倒していますが、配当利回りは欧州株の方が高い傾向があります。
先進国株(米国除く)のメリット
① 地理的な分散効果
米国株だけに集中投資した場合、米国経済が長期的に停滞すれば大きなダメージを受けます。
欧州・日本・オーストラリアなど複数の国に分散することで、特定の国・地域の経済ショックへのリスクを軽減できます。
「卵を一つのカゴに盛るな」の原則を、国レベルで実践する発想です。
② 配当利回りが高い
欧州の大手企業は米国企業と比べて配当性向が高い傾向があります。
ネスレ(スイス)・LVMH(フランス)・シェル(イギリス)・SAP(ドイツ)——こういったグローバル企業が安定した高配当を出し続けています。
配当収入を重視する投資スタイルの方には魅力的な選択肢です。
③ 割安なバリュエーション
米国株はPER(株価収益率)が高く、割高な状態が続いています。一方、欧州株は歴史的に見て割安な水準で取引されることが多く、バリュー投資(割安株投資)の観点では魅力的な市場です。
④ 為替の分散
米国株への集中投資はドル一本への集中でもあります。ユーロ・ポンド・スイスフランなど複数の通貨に分散することで、為替リスクを国際的に分散できます。
先進国株(米国除く)のデメリット
① 長期リターンが米国株を大きく下回る
最大のデメリットはこれです。
過去30年、欧州の主要株価指数は年率4〜6%程度のリターンにとどまり、S&P500の約10%には大きく劣ります。
その背景には構造的な理由があります。
【欧州株の成長が鈍い理由】
・人口増加が緩やか(日本ほどではないが鈍化傾向)
・規制が多くスタートアップが育ちにくい環境
・GAFAMのような巨大テクノロジー企業が生まれにくい
・エネルギー・金融・消費財などの成熟産業が中心
・政治的分断(EUの複雑な意思決定構造)② イノベーションの創出力が弱い
世界のテクノロジー革命を牽引しているのは、NVIDIA・Apple・Microsoft・Alphabet・Amazonなど、ほぼすべて米国企業です。
AIブーム・クラウドコンピューティング・電気自動車・宇宙産業——次世代産業の中心は米国です。欧州には強いブランド企業(ルイ・ヴィトン・フェラーリなど)がありますが、テクノロジー面での存在感は米国に大きく劣ります。
③ 複数の為替リスクが発生する
欧州株への投資は、円→ユーロ・ポンドなど複数の為替変動リスクを受けます。「分散になる」というメリットがある一方で、管理の複雑さというデメリットでもあります。
米国株 vs 先進国株|過去のリターン比較
【仮に1990年に100万円を投資していたら(2024年時点)】
S&P500(米国株)
100万円 → 約1,800〜2,000万円(約18〜20倍)
MSCI EAFE(米国除く先進国)
100万円 → 約300〜400万円(約3〜4倍)この差は歴然です。特に2010年代以降、テクノロジー株主導の米国株の上昇が先進国との差をさらに広げました。
では「全世界株式」に米国以外が入っている意味は何か
ここが本質的な問いです。
答えは「将来への保険」です。
過去30年は米国株が圧倒的でした。しかし今後30年も同じとは限りません。
かつて1980〜90年代の日本は「世界最強の株式市場」と言われていました。それが「失われた30年」を経験しました。
米国が今後も世界をリードし続けると信じるなら、S&P500一本の方が高いリターンが期待できます。一方「米国一強がいつまでも続くとは限らない」と考えるなら、全世界株式で分散しておく合理性があります。
どちらが正解かは、誰にもわかりません。
長期投資家の結論
シンプルに高いリターンを求めるならS&P500。米国への集中リスクを避けたいなら全世界株式(オール・カントリー)。
どちらを選ぶにしても「なぜその選択をするのか」という自分なりの根拠を持つことが大切です。
次回は、高い成長ポテンシャルと高いリスクを持つ新興国株とS&P500を比較します。
次回:第4回「新興国株 vs 米国株」
→ インド・中国・ブラジルの成長性と
米国株との比較関連記事
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。データは過去実績であり将来を保証するものではありません。
タグ: #先進国株 #米国株 #S&P500 #全世界株式 #オールカントリー #MSCI #投資比較 #インデックス投資 #NISA #分散投資