この記事の要点

  • はじめに|「PERが高い=割高」とは限りません
  • PEGレシオとは何か
  • PEGレシオの目安
  • 具体例で比較してみましょう
  • PEGレシオを使うときの注意点

カテゴリ:投資の基礎知識・財務指標・成長株投資


はじめに|「PERが高い=割高」とは限りません

前回の「財務指標・バリュエーション分析シリーズ①」では、株価の割安・割高を判断する基本指標としてPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)を解説しました。記事の最後で触れたとおり、PERには大きな弱点があります。それは「企業の成長スピード」が考慮されていないという点です。

たとえば、PER40倍の企業とPER15倍の企業があった場合、数字だけを見ると前者のほうが割高に見えます。しかし、前者が毎年40%ずつ利益を伸ばし、後者が毎年3%しか伸びていないとしたらどうでしょうか。数年後には、PER40倍だった企業のほうが「割安だった」と評価されることも十分にあり得ます。

そこで登場するのが、今回解説するPEGレシオです。PERに「成長率」という視点を加えることで、成長株の割安・割高をより公平に比較できるようになります。米国株のハイテク株やAI関連株に投資している方には、ぜひ押さえておいていただきたい指標です。

PEGレシオとは何か

PEGレシオ(Price Earnings to Growth Ratio)は、PERを「1株当たり利益(EPS)の成長率」で割った指標です。伝説的なファンドマネージャーであるピーター・リンチ氏が著書で紹介したことで広く知られるようになりました。

PEGレシオ(倍)= PER ÷ EPS成長率(%)

例:PER30倍、EPS成長率(年率)20%の企業
→ PEGレシオ = 30 ÷ 20 = 1.5倍

ここで注意したいのは、成長率は「%」の数字をそのまま使う点です。20%であれば「0.2」ではなく「20」で割ります。

PEGレシオの目安

PEGレシオには、一般的に次のような目安があるとされています。

ただし、これはあくまで目安です。近年の米国株市場では、大型ハイテク株を中心にPEGレシオが1.5〜2倍前後で推移する銘柄も珍しくありません。「1倍を超えたらすぐに割高」と機械的に判断するのではなく、同業他社や市場全体の水準と比較して使いましょう。

具体例で比較してみましょう

PERだけで見た場合とPEGレシオで見た場合で、評価がどのように変わるのかを架空の3社で比較してみます。

このように、PERだけで判断すると「A社は高すぎて手が出せない」と感じてしまいますが、PEGレシオで見ると成長率に見合った株価であることがわかります。反対に、PERが標準的に見えるB社は、成長率の低さを考えると決して割安とはいえません。

PEGレシオを使うときの注意点

PEGレシオは便利な指標ですが、いくつかの落とし穴があります。特に次の点に注意してください。

・成長率は「予想値」であり、外れる可能性がある
・どの期間の成長率を使うかで数値が大きく変わる
・成長率がマイナスまたはゼロに近い企業には使えない
・高配当の成熟企業は、配当が考慮されないため不利に出やすい
・一時的な利益の急増(前年の反動など)で成長率が過大になることがある

成長率の選び方で結果が変わります

PEGレシオの計算に使う成長率には、「過去5年の実績成長率」「アナリストによる今後1年の予想成長率」「今後3〜5年の予想成長率」など、いくつかの選択肢があります。一般的には、今後3〜5年程度の予想EPS成長率を使うことが多いです。

同じ企業でも、使う成長率によってPEGレシオが0.8倍にも2倍にもなることがあります。証券会社のツールや情報サイトでPEGレシオを確認する際は、どの成長率をもとに計算されているのかを必ずチェックしましょう。

成熟した高配当株には不向きです

配当を重視する成熟企業は、利益の多くを株主に還元するため、EPS成長率が低めになりがちです。そのため、PEGレシオでは割高に見えやすくなります。こうした銘柄を評価する場合は、配当利回りを成長率に加えた「配当調整後PEGレシオ(PEGY)」を参考にする方法もあります。

配当調整後PEGレシオ(PEGY)= PER ÷(EPS成長率 + 配当利回り)

例:PER18倍、EPS成長率6%、配当利回り3%
→ PEGY = 18 ÷(6 + 3)= 2.0倍

PEGレシオを投資判断に活かす3つのステップ

最後に、実際の銘柄選びでPEGレシオを活用する流れを整理しておきます。

ステップ1:スクリーニングで気になる成長株を絞り込む
ステップ2:PER・PBRに加えてPEGレシオを確認し、同業他社と比較する
ステップ3:成長率の前提が現実的か、決算資料や業績見通しで裏付けを取る

特に大切なのはステップ3です。PEGレシオは「成長が予想どおり続けば」という前提に立った指標です。売上高の伸び、利益率の推移、競争環境などを財務諸表から確認し、その成長率が本当に実現できそうかを自分なりに検証することが、失敗を防ぐ最大のポイントになります。

まとめ

PEGレシオは、PERに成長率の視点を加えることで、成長株の割安・割高をより公平に判断できる指標です。目安は「1倍前後」ですが、成長率の前提や業種によって適正水準は変わるため、単独ではなく複数の指標と組み合わせて使いましょう。

次回の「財務指標・バリュエーション分析シリーズ③」では、企業の稼ぐ力を資本効率の面から測るROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)について解説していきます。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #財務指標 #バリュエーション分析 #PEGレシオ #成長株投資 #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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