この記事の要点

  • はじめに|「割安かどうか」の前に「稼ぐ力があるか」を確認しましょう
  • ROE(自己資本利益率)とは?
  • ROA(総資産利益率)とは?
  • ROEとROAの違いを比較
  • 具体例:ROEが同じでも中身はまったく違います

カテゴリ:米国株・財務指標・バリュエーション分析


はじめに|「割安かどうか」の前に「稼ぐ力があるか」を確認しましょう

これまでのシリーズでは、PER・PBR、PEGレシオ、EV/EBITDA倍率と、株価の「割安・割高」を判断する指標を順番に解説してきました。しかし、どれだけ株価が割安に見えても、企業そのものに稼ぐ力がなければ、株価はなかなか上がりません。いわゆる「バリュートラップ(割安のわな)」です。

そこでシリーズ第4回は、企業の収益性・経営効率を測る代表的な指標であるROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)を取り上げます。ウォーレン・バフェット氏も重視していることで知られる指標で、優良企業を見つけるための基本中の基本です。

この記事では、2つの指標の計算式と違い、目安、そしてROEを3つに分解する「デュポン分析」まで、具体例を使ってわかりやすく解説します。

ROE(自己資本利益率)とは?

ROE(Return on Equity)は、株主から預かったお金(自己資本)を使って、1年間でどれだけ利益を生み出したかを示す指標です。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

たとえば自己資本1,000億円の会社が純利益150億円を稼げば、ROEは15%です。株主の立場から見ると「自分たちの出資金が年15%で回っている」と考えられるため、株主目線の収益性を表す指標といえます。

ROA(総資産利益率)とは?

ROA(Return on Assets)は、借金も含めた会社の総資産をどれだけ効率よく使って利益を出したかを示す指標です。

ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

総資産は「自己資本+負債」で構成されています。ROAは資金の出どころ(株主か債権者か)を区別せず、会社全体としての資産の使い方のうまさを測る指標です。

ROEとROAの違いを比較

2つの指標の違いを表で整理します。

具体例:ROEが同じでも中身はまったく違います

架空の2社で比べてみましょう(単位:億ドル)。

【A社】総資産1,000/自己資本800/負債200/純利益120
  ROE = 120 ÷ 800 × 100 = 15%
  ROA = 120 ÷ 1,000 × 100 = 12%

【B社】総資産3,000/自己資本800/負債2,200/純利益120
  ROE = 120 ÷ 800 × 100 = 15%
  ROA = 120 ÷ 3,000 × 100 = 4%

ROEはどちらも15%ですが、A社は少ない資産で効率よく稼いでいるのに対し、B社は多額の借金で資産を膨らませてようやく同じ利益を出しています。ROEだけを見ると同じ優良企業に見えても、ROAを並べると経営の質の差がはっきりわかるのです。

デュポン分析|ROEを3つの要素に分解する

ROEが高い理由を深掘りするのに便利なのが「デュポン分析」です。ROEは次の3つの掛け算に分解できます。

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

売上高純利益率 = 純利益 ÷ 売上高(どれだけ儲かる商売か)
総資産回転率   = 売上高 ÷ 総資産(資産をどれだけ回転させて売上にしたか)
財務レバレッジ = 総資産 ÷ 自己資本(借金をどれだけ活用しているか)

なお、「売上高純利益率 × 総資産回転率」はROAと同じになります。つまり、ROE = ROA × 財務レバレッジという関係が成り立ちます。

ROEの高さの「源泉」はどこか

一般的に、高利益率型や高回転型のROEは「本業の強さ」から生まれているため、持続しやすいと考えられます。一方、レバレッジ頼みのROEは、景気悪化や金利上昇の局面で急に悪化するリスクがあります。

ROEを見るときの注意点

便利なROEにも落とし穴があります。次の点をチェックしましょう。

・借金でROEがかさ上げされていないか
  → 財務レバレッジやROAもあわせて確認しましょう
・自社株買いで自己資本が縮んでいないか
  → 米国企業は自社株買いに積極的で、自己資本が小さくなるとROEが極端に高く出ることがあります
・自己資本がマイナス(債務超過)になっていないか
  → 自社株買いを続けた企業では自己資本がマイナスになり、ROEが計算上意味をなさない場合があります
・一時的な利益で膨らんでいないか
  → 資産売却益などで単年だけ高い場合があるため、過去5年程度の推移を確認しましょう

特に米国株では、2つ目と3つ目がよく問題になります。ROEが50%や100%を超えているような場合は、まず「自己資本がどれくらい小さいか」を貸借対照表で確認するのがおすすめです。その場合はROAや、前回解説したEV/EBITDA倍率など、自己資本に左右されにくい指標で補うと判断の精度が上がります。

実践!ROE・ROAの調べ方と活用ステップ

米国株のROE・ROAは、証券会社の銘柄情報ページや、Yahoo!ファイナンス(米国版)の「Statistics」欄で「Return on Equity」「Return on Assets」として確認できます。実際の活用は次の手順で進めるとスムーズです。

ステップ1:気になる銘柄のROEとROAを調べる
ステップ2:過去5年程度の推移を見て、安定して高いかを確認する
ステップ3:同業他社3〜5社と並べて比較する
ステップ4:デュポン分析で「利益率・回転率・レバレッジ」のどれが源泉かを確認する
ステップ5:PER・PBRなどの割安度指標と組み合わせ、「稼ぐ力が高く、かつ割高すぎない」銘柄を探す

参考として、PBR = PER × ROEという関係も覚えておくと便利です。ROEが高い企業ほどPBRが高くなるのは自然なことなので、「PBRが高い=即割高」と決めつけず、ROEとセットで評価するようにしましょう。

まとめ

・ROE=株主のお金でどれだけ稼いだか(株主目線の収益性)
・ROA=会社の総資産でどれだけ稼いだか(会社全体の資産効率)
・ROE = ROA × 財務レバレッジ。借金が多いとROEだけが高く出やすい
・デュポン分析でROEの源泉(利益率・回転率・レバレッジ)を見極める
・米国株は自社株買いでROEが極端に高く出ることがあるため、ROAや推移もあわせて確認する

割安度を測る指標に加えて、ROE・ROAで「稼ぐ力」を確認できるようになると、バリュートラップを避けながら優良企業を見つけやすくなります。気になる銘柄のROEとROAを並べて、デュポン分析で中身まで確かめてみましょう。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #ROE #ROA #財務指標 #バリュエーション #米国株 #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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