カテゴリ:米国株・企業分析・バークシャー・ハサウェイ


はじめに|「ポスト・バフェット」体制で何が変わったのか

これまでの【米国株 企業分析シリーズ】では、Apple・Microsoft・NVIDIAといった巨大テック企業を中心に取り上げてきました。前回の【米国株 企業分析シリーズ⑨】では、広告事業とライブスポーツ参入で変わるNetflixの収益構造を解説しました。

今回取り上げるのは、保険・鉄道・エネルギーなど幅広い事業を傘下に持つ巨大コングロマリット、バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)です。2026年1月、64年にわたり経営を率いたウォーレン・バフェット氏からグレッグ・エイベル氏へCEOが交代し、「ポスト・バフェット」体制がスタートしました。今回は、新体制のもとでの資本配分戦略と主要事業の収益構造を、直近の決算数値とともにわかりやすく解説していきます。


バークシャー・ハサウェイとはどんな会社か

バークシャー・ハサウェイは、単一事業の企業ではなく、複数の事業を傘下に持つコングロマリット(複合企業)です。主な事業セグメントは次の通りです。

バークシャー・ハサウェイの主な事業セグメント

  ① 保険事業
     → GEICO(自動車保険)、再保険、General Reなど

  ② 鉄道事業(BNSF)
     → 北米最大級の貨物鉄道網

  ③ エネルギー事業(Berkshire Hathaway Energy)
     → 電力・パイプライン・再生可能エネルギー

  ④ 製造・サービス・小売事業
     → 日用品、産業製品、フランチャイズ小売など多数

  ⑤ 巨大な株式投資ポートフォリオ
     → Apple、Coca-Colaなど有名企業の株式を長期保有

保険事業で集めた保険料(フロート)を元手に、鉄道・エネルギーなどの実業や株式投資へ再投資する構造が、バークシャー最大の強みです。


CEO交代と過去最大規模の現金活用

2026年1月にCEOへ就任したグレッグ・エイベル氏は、バフェット氏が築いた過去最大規模の現金(2026年第1四半期末で約3,974億ドル)を、積極的に活用し始めています。

エイベルCEO体制での主な資本配分(2026年)

  ・Alphabet(Google親会社)株へ約100億ドルを投資
  ・Taylor Morrison Home社を約68億ドルで買収完了(7月24日)
  ・その他の株式にも約210億ドルを追加投資
  ・自社株買いを第2四半期に45億ドル実施(過去10年で最大級)

この結果、現金残高は第1四半期末の約3,974億ドルから、第2四半期末には約3,655億ドルまで減少しました。長年「待つ経営」で知られたバフェット時代とは対照的に、新体制では手元資金を積極的に動かす姿勢が鮮明になっています。


2026年第2四半期決算のポイント

直近の決算では、事業セグメントごとに明暗が分かれる結果となりました。

※ 数値は各種決算報道をもとにした概算であり、正式な数値は決算短信をご確認ください。

保険事業では、GEICOの自動車保険で保険金請求の頻度・金額がともに増加した影響で引受利益が大きく落ち込みました。一方で、製造・サービス・小売やエネルギー事業は二桁の増益となり、鉄道事業も底堅く推移しています。全体としては、保険の弱さを他事業がカバーする形で、営業利益全体は増益を確保しました。


投資判断のポイント

バークシャー・ハサウェイへの投資を検討する際は、次のような視点が参考になります。

投資判断のチェックポイント

  ① 事業の分散度が高く、単一業種の不振に強い構造か
  ② 保険フロートを活かした資本配分戦略が機能しているか
  ③ 新CEO体制での投資判断・買収の実績をどう評価するか
  ④ 無配当のため、配当ではなく株価上昇・自己株買いが株主還元の中心
  ⑤ 巨大な時価総額ゆえに、成長率は緩やかになりやすい点

バークシャーは配当を出さない方針のため、新NISAで投資する場合も配当非課税のメリットは得られませんが、値上がり益が非課税になる点は変わらないメリットです。ディフェンシブな分散投資先として、ポートフォリオの一部に組み入れる投資家も少なくありません。


まとめ|「ポスト・バフェット」体制の実行力に注目

今回のポイントを振り返ります。

今回のまとめ

  ・バークシャーは保険・鉄道・エネルギー・株式投資を組み合わせた巨大コングロマリット
  ・2026年1月にエイベル氏がCEOに就任し、積極的な資本配分へ転換
  ・Q2決算は保険が弱含む一方、他事業がカバーし営業利益は+16%の増益
  ・現金活用(Alphabet株投資、Taylor Morrison買収、自社株買い)が加速
  ・無配当だが値上がり益は新NISAでも非課税というメリットがある

バフェット氏という「顔」がいなくなった後も、バークシャーの分散された事業構造そのものが強みであることに変わりはありません。次回のシリーズでは、引き続き注目の米国企業を取り上げていきます。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #バークシャー・ハサウェイ #企業分析 #米国株 #グレッグ・エイベル #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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