この記事の要点

  • はじめに|CEO電撃交代から一転、V字回復を見せたPayPal
  • 会社概要|PayPalとはどんな会社か
  • CEO電撃交代の衝撃|何が起きたのか
  • 新体制での決算|2026年第2四半期はどうだったか
  • 成長ドライバー|エージェント型コマースへの布石

はじめに|CEO電撃交代から一転、V字回復を見せたPayPal

2026年2月、決済大手PayPal Holdings(PYPL)はCEOの電撃交代を発表し、株価が急落するという大きなニュースがありました。オンライン決済の元祖として知られる同社ですが、成長鈍化への危機感から取締役会が下した決断でした。

ところが新体制に移行した2026年第2四半期の決算では、増収増益とガイダンス引き上げを発表し、市場の見方は徐々に変わりつつあります。今回の【米国株 企業分析シリーズ㊹】では、PayPalの事業構造とCEO交代の背景、そしてOpenAIやPerplexityと進めるエージェント型コマース戦略までをわかりやすく解説します。

会社概要|PayPalとはどんな会社か

PayPal Holdingsは1998年に設立されたオンライン決済サービスの草分け的存在です。2015年にeBayから分離独立して以来、個人間送金アプリ「Venmo」、決済インフラ「Braintree」などを傘下に持ち、世界中の消費者と加盟店をつなぐ決済プラットフォームを運営しています。

・社名:PayPal Holdings, Inc.(NASDAQ:PYPL)
・設立:1998年
・本社:米国カリフォルニア州サンノゼ
・主要事業:オンライン決済、Venmo、Braintree、Xoom(国際送金)
・主な収益源:加盟店・消費者からの決済手数料

CEO電撃交代の衝撃|何が起きたのか

2026年2月3日、PayPalは当時のCEOアレックス・クリス氏の退任と、HP(ヒューレット・パッカード)の前CEOであるエンリケ・ロレス氏を新CEOに起用する人事を同時に発表しました。この発表とあわせて示された2026年通期の利益見通しが市場予想を下回ったこともあり、株価は一時19%ほど急落しています。

クリス氏は在任中、コスト削減や低採算事業の見直しによる「利益ある成長」路線を推し進め、2025年12月期には営業利益率が過去最高の18.3%に達するなど収益性を大きく改善させました。しかし、主力のオンライン決済(ブランデッドチェックアウト)の成長率は2025年第4四半期に前年の6%から1%まで鈍化し、変化のスピードが取締役会の期待に届かなかったことが交代の理由とされています。移行期間はCFOのジェイミー・ミラー氏が暫定CEOを務め、ロレス氏は2026年3月1日付で正式に就任しました。

新体制での決算|2026年第2四半期はどうだったか

新CEO体制で迎えた2026年第2四半期決算は、市場予想を上回る内容となりました。

・売上高:86.8億ドル(前年同期比+5%)
・決済取扱高(TPV):4,860億ドル(前年同期比+10%、為替中立ベースで+9%)
・Venmoの決済取扱高:前年同期比+14%
・Venmoデビットカードの月間利用者数:前年同期比+50%超
・Pay with Venmoの月間利用者数:前年同期比+30%
・Non-GAAP EPS:1.38ドル(市場予想1.28ドルを上回る)

会社側はコスト削減や技術基盤の刷新、金融サービス・Venmo・Braintreeへの事業多角化の進展を理由に、通期のトランザクションマージンとEPSの見通しを上方修正しました。懸念されていたブランデッドチェックアウトについても、通期で為替中立ベースの低い一桁成長を見込むまでに底打ちの兆しが見えています。

成長ドライバー|エージェント型コマースへの布石

PayPalが次の成長の柱として力を入れているのが、生成AIを介した「エージェント型コマース」です。

2025年10月には、OpenAIとの提携を発表し、ChatGPT上でのインスタントチェックアウト機能にPayPalの決済インフラを組み込む取り組みを進めています。アパレルや美容、家電など幅広いジャンルの加盟店の商品カタログをChatGPTの購買体験に対応させる計画で、2026年を通じて拡大中です。

さらに2026年初めには、対話型AI検索サービスのPerplexityとも提携し、5,000以上の既存PayPal加盟店の商品をAI経由で購入できる「Agent Ready」機能の提供を開始しました。ユーザーがAIチャットの中で「欲しい」と伝えるだけで決済まで完結する世界観を見据えた布石といえます。

株主還元とバリュエーション|割安感をどう見るか

PayPalは配当をほとんど実施しておらず、株主還元の中心は自社株買いです。2025年2月には150億ドル規模の自社株買い枠を新たに設定しており、稼いだキャッシュを積極的に株式の買い戻しに回す方針を続けています。

業績面では、2025年12月期の売上高は332億ドル(前年比+4.3%)にとどまった一方、純利益は52.3億ドル(前年比+26%)と過去最高を更新しました。成長率の鈍化と収益性改善が同時に進んでいる状態です。バリュエーション面では、2026年7月時点のPER(実績ベース)は8倍台まで低下しており、市場が将来の成長をほとんど織り込んでいない「割安株」的な位置づけになっている点が特徴です。

決済関連銘柄との比較

※アメリカン・エキスプレスの詳細は後述の関連記事をご参照ください。

リスク要因

投資判断にあたっては、以下のリスクも押さえておきましょう。

・新CEOロレス氏の戦略が実際に成長率を押し上げられるかは未知数
・Apple PayやBlock(旧Square)など競合との顧客獲得競争が続いている
・エージェント型コマースは新しい分野であり、収益化までに時間がかかる可能性
・オンライン決済のコモディティ化による手数料率の低下圧力

まとめ

PayPalはCEOの電撃交代という逆風を経験しながらも、2026年第2四半期には増収増益とガイダンス引き上げを達成し、V字回復の兆しを見せています。Venmoの収益化やOpenAI・Perplexityと進めるエージェント型コマースは、次の成長ステージを占ううえで注目すべきテーマです。一方で株価は歴史的に低いPER水準にあり、新体制の実行力を市場がどう評価していくかが今後の焦点になりそうです。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #PayPal #フィンテック #企業分析 #米国株 #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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とびー
この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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