この記事の要点

  • はじめに|NVIDIA一強に挑む「もう一人の主役」
  • AMDとはどんな会社か
  • 2026年第2四半期決算のハイライト
  • 成長戦略の柱|MI450シリーズと「Helios」
  • NVIDIAとの競争構図

カテゴリ:米国株・半導体・AI関連株


はじめに|NVIDIA一強に挑む「もう一人の主役」

米国株企業分析シリーズ第32回は、AI半導体市場でNVIDIAの対抗馬として存在感を強めているAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ティッカー:AMD)を取り上げます。2026年第2四半期決算ではデータセンター事業の売上高が前年比107%増と急拡大し、OpenAIやAnthropicとの大型提携も相次いで発表されました。CPU・GPU・組込み製品を幅広く手がけるAMDのビジネスモデルと、AI半導体戦争における立ち位置をわかりやすく解説します。

AMDとはどんな会社か

AMDは1969年創業のファブレス半導体企業です。自社で工場を持たず、TSMCなど外部ファウンドリに製造を委託し、設計と製品開発に経営資源を集中させています。事業は主に次の3セグメントで構成されます。

・データセンター:サーバー向けCPU「EPYC」、AIアクセラレータ「Instinct」
・クライアント&ゲーミング:PC向けCPU「Ryzen」、ゲーム機向け半導体
・組込み:産業機器・通信機器向け半導体(2022年買収のXilinx由来)

かつてはIntelの下位互換的な存在と見られていましたが、この10年でサーバー向けCPU市場のシェアを大きく伸ばし、近年はNVIDIAが独占するAI向けGPU市場への本格参入で急成長しています。

2026年第2四半期決算のハイライト

2026年8月に発表された第2四半期(4〜6月期)決算では、データセンター事業の急拡大が際立ちました。

データセンター事業は、EPYCプロセッサの売上が70%以上伸びたことに加え、AI向けInstinctアクセラレータ「MI355X」の採用拡大が寄与し、営業損益も前年同期の1.55億ドルの赤字から21億ドルの黒字へと大きく改善しました。この結果、データセンター事業は全社売上の58%を占めるまでに拡大しています。

一方でゲーミング事業は、ゲーム機向け半導体(セミカスタム)の需要が製品サイクル終盤に差し掛かったことと、メモリなど部材コストの上昇が重なり前年割れとなりました。組込み事業は産業・通信向け需要の回復により、2026年通期で180億ドル超の新規受注を見込む好調な状況です。

会社側は第3四半期(7〜9月期)の売上高について、130億ドル前後(前年比+41%)になるとの見通しを示しており、成長ペースはさらに加速する計算です。

成長戦略の柱|MI450シリーズと「Helios」

AMDの今後の成長を左右するのが、次世代AIアクセラレータ「MI450シリーズ」と、それを組み込んだラックスケールAIシステム「Helios」です。HeliosはCPU「Venice」、GPU「MI450シリーズ」、ネットワーク機器、ソフトウェアを一体化した製品で、2026年に量産が始まりました。後継の「MI455X」を搭載した第2世代Heliosの出荷も、Meta・OpenAIなどの顧客向けに近く始まる見通しです。

特に注目されるのが、2025年10月に締結されたOpenAIとの戦略的資本提携です。AMDはOpenAIに対し発行済株式の最大1割に相当する新株予約権を付与する一方、OpenAIは6ギガワット相当のAI計算基盤をAMDから調達する契約を結びました。さらに2026年にはAnthropicとも提携し、Heliosを通じて最大2ギガワット規模のMI450シリーズGPUを供給する計画が明らかになっています。こうした大型顧客との複数年契約は、AMDのAI事業の収益予見性を高める材料といえます。

NVIDIAとの競争構図

AI向けGPU市場は依然としてNVIDIAが圧倒的なシェアを握っていますが、AMDは「唯一の現実的な代替選択肢」としての地位を固めつつあります。

・NVIDIA:GPU市場シェア首位、CUDAによるソフトウェア面での強固な囲い込み
・AMD:オープン規格「ROCm」を軸に、価格競争力とカスタマイズ性を武器に攻勢
・共通点:TSMCの最先端プロセスへの生産委託、大手クラウド事業者への直接供給

大手クラウド事業者やAI開発企業にとって、NVIDIAへの依存度を下げる「セカンドソース」としてのAMDの価値は高まっており、これが2026年の受注拡大につながっています。ただし、NVIDIAとの技術的な差は依然として存在し、ソフトウェアエコシステムの成熟度でも追いつく途上にある点には注意が必要です。

株価・配当・投資判断のポイント

2026年7月時点の株価は1株539.69ドル前後、時価総額は約8,340億ドルとなっており、AI関連株として高い成長期待が株価に織り込まれています。なお、AMDは成長投資を優先する方針のため配当は実施しておらず、インカムゲインを重視する投資家には不向きな銘柄です。

投資判断にあたっては、以下の点を確認しておくとよいでしょう。

・データセンター事業の成長率が市場予想を上回るペースを維持できるか
・MI450/MI455Xシリーズの量産と大口顧客への納入が計画通り進むか
・NVIDIAとの価格競争やソフトウェア対応の遅れがマージンに与える影響
・半導体市況全体の変動やメモリ・部材コスト上昇によるゲーミング事業への逆風

高い成長期待の裏返しとして株価のボラティリティも大きいため、一括投資よりも時間分散を意識した買い方が向いている銘柄といえます。

まとめ

AMDはCPU・GPU・組込み製品をバランスよく手がける総合半導体企業から、AI向けデータセンター半導体を主軸とする成長企業へと姿を変えつつあります。OpenAIやAnthropicとの大型提携によって需要の可視性が高まっている一方、NVIDIAという強大な競合の存在と配当のない成長株特有の値動きの荒さは、投資判断における重要なポイントです。AI半導体市場全体の拡大が続く中、AMDの動向は米国株投資家にとって引き続き注目に値するテーマといえるでしょう。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #AMD #AI半導体 #企業分析シリーズ #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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とびー
この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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