この記事の要点

  • はじめに|リード文
  • セールスフォースとはどんな会社か
  • 2027年度第2四半期(2026年8月発表)決算のポイント
  • Agentforceが牽引するAI戦略
  • 株価バリュエーション|競合他社との比較

カテゴリ:米国株・企業分析・IT/クラウド


はじめに|リード文

CRM(顧客関係管理)というジャンルを世界で切り拓き、いまも圧倒的なシェアを握り続けているのがセールスフォース(Salesforce, ティッカー:CRM)です。近年は生成AIブームの中で「Agentforce」というAIエージェント製品を軸にした新戦略を打ち出し、投資家からの注目度も再び高まっています。今回は企業分析シリーズ第33回として、セールスフォースのビジネスモデルや直近決算の実数値、株価バリュエーション、投資前に押さえておきたいリスクまで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説していきます。

セールスフォースとはどんな会社か

セールスフォースは1999年創業、クラウド型のSaaS(Software as a Service)というビジネスモデルを世界で最初に本格展開した企業として知られています。現在の主力製品は次のとおりです。

・Sales Cloud:営業支援(案件・商談管理)
・Service Cloud:カスタマーサポート支援
・Marketing Cloud:マーケティング自動化
・Data Cloud:全社データの統合基盤
・Slack:社内コミュニケーションツール(2021年買収)
・Agentforce:AIエージェントによる業務自動化

これらを組み合わせて企業に提供し、月額・年額のサブスクリプション(継続課金)で収益を得るのが基本的な収益構造です。2026年にはデータ統合企業のInformaticaを買収し、Data Cloud事業をさらに強化しています。

2027年度第2四半期(2026年8月発表)決算のポイント

セールスフォースの会計年度は2月始まりのため、2026年8月26日に発表された決算は「2027年度第2四半期(Q2 FY27、2026年5〜7月期)」にあたります。主な実数値は次のとおりです。

売上高の伸びのうち、買収したInformaticaの寄与分が4.56億ドル含まれている点には注意が必要ですが、それを差し引いても二桁成長を維持している点は評価できます。EPSの大幅な伸びは、粗利改善に加えて自社株買いの効果も大きく影響しています。

Agentforceが牽引するAI戦略

今回の決算で特に注目されたのが、AIエージェント製品「Agentforce」の伸びです。AgentforceとData Cloudを合わせた年間経常収益(ARR)は約39億ドルに達し、前年同期比で210%を超える伸びを記録しました。Agentforce単体のARRも15億ドルを超え、前年同期比240%以上の成長となっています。

Agentforceは、人間の代わりに顧客対応や商談フォローなどの業務を自律的にこなす「AIエージェント」を企業に提供する製品です。既存顧客からの契約拡大がData CloudとAgentforceの受注の4割超を占めており、既存の大口顧客がAI機能を追加導入する動きが広がっていることがうかがえます。100万ドルを超える大型契約のうち、Data CloudとAIの両方を含む契約も60件を超えました。

株価バリュエーション|競合他社との比較

生成AI関連銘柄の中でも、セールスフォースは比較的割安な水準で取引されている点が特徴です。同じ企業向けソフトウェア大手と比較してみましょう。

セールスフォースのフォワードPERは同業のソフトウェア業界平均(約33倍)を大きく下回っており、成長性の割に株価が抑えられている「割安局面」との見方も出ています。一方で、この割安感は市場が同社の成長鈍化リスクを織り込んでいるためとも解釈でき、単純に「安いから買い」と判断するのは注意が必要です。

投資前に押さえておきたいリスク

セールスフォースへの投資を検討する際は、次のようなリスクも理解しておく必要があります。

・売上成長率の鈍化:全社売上高の伸びは一桁台後半まで減速しており、
 過去の高成長期と比べると勢いに陰りが見える
・競合の激化:マイクロソフト(Dynamics 365、Copilot)や
 オラクル、SAPなど大手が同じ企業向けAI・SaaS市場に参入
・買収統合リスク:SlackやInformaticaなど大型買収の統合が
 計画通りに収益貢献するかは今後の実行力次第
・投下資本収益率(ROIC)の伸び悩み:業界平均と比べて
 資本効率の面で改善余地があるとの指摘もある

Agentforceという新しい成長エンジンには大きな期待が集まっていますが、AI関連の投資ブームがそのまま業績に直結するとは限りません。決算ごとにAgentforce ARRの伸び率や既存顧客からの契約拡大率を継続的にチェックしていくことが重要です。

まとめ

セールスフォースは、SaaS市場のパイオニアという実績を持ちながら、Agentforceを軸にしたAIエージェント戦略で新たな成長ステージに挑んでいる企業です。2027年度Q2決算では売上・利益ともに二桁成長を維持し、Agentforce ARRは前年比240%超という高い伸びを示しました。一方で全社的な成長鈍化や競合の激化といったリスクも抱えており、バリュエーションの割安感だけで判断せず、AI関連製品の実際の収益貢献度を継続的に確認していく姿勢が大切です。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #米国株 #企業分析 #セールスフォース #AI関連株 #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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