この記事の要点

  • はじめに|「衰退企業」から「国家戦略の中心」へ
  • インテルとはどんな会社か
  • 2026年第2四半期決算のポイント
  • 18Aプロセスと歩留まり85%が意味すること
  • 政府・NVIDIA・SoftBankから合計159億ドル超の出資

カテゴリ:米国株・半導体・AI関連株


はじめに|「衰退企業」から「国家戦略の中心」へ

米国株企業分析シリーズ第34回で取り上げるのは、長年の低迷から復活の兆しを見せているインテル(Intel、ティッカー:INTC)です。かつて「PC時代の王者」と呼ばれながらも、AI半導体競争でNVIDIAやAMDに大きく水をあけられていたインテルですが、2025年以降は米国政府・NVIDIA・SoftBankという異例の顔ぶれから合計159億ドルを超える出資を受け、最先端プロセス「18A」の量産にこぎ着けました。今回は2026年第2四半期決算の実数値から、政府出資の意味、投資判断のポイントまでわかりやすく徹底解説していきます。

インテルとはどんな会社か

インテルは1968年創業、半導体の設計から製造まで自社で手がける「IDM(垂直統合型デバイスメーカー)」として知られてきた企業です。現在の事業は主に次の3つに整理できます。

・CCPG(クライアント・コンピューティング&フィジカルAIグループ):
 PC向けCPU「Core」シリーズ、AI PC向け「Core Ultra」
・DCAI(データセンター&AI):
 サーバー向けCPU「Xeon」、AI関連製品
・Intel Foundry:
 自社製品に加え他社製品の製造も請け負う半導体受託生産事業

2025年3月に就任したリップブー・タンCEOのもとで大規模な人員削減とコスト構造改革を進める一方、長年赤字が続いていたファウンドリ事業を外部顧客獲得によって軌道に乗せる「復活戦略」を推進しています。

2026年第2四半期決算のポイント

2026年7月に発表された第2四半期(4〜6月期)決算では、実に15年超ぶりとなる高い増収率が話題になりました。主な実数値は次のとおりです。

一見するとGAAPベースでは大幅な赤字ですが、これは本業の不振によるものではなく、米国政府が保有するCHIPS法に基づく株式(ワラント)を、株価上昇に合わせて時価評価し直したことによる125億ドル超の非現金評価損が主因です。事業の実態を示すnon-GAAP EPSは市場予想をほぼ倍増する好結果となっており、決算内容自体は市場から好感されました。

18Aプロセスと歩留まり85%が意味すること

インテル復活戦略の心臓部にあるのが、最先端の製造プロセス「Intel 18A」です。同社は「米国内で開発・量産される中で最も先進的な半導体プロセス」と位置づけており、このプロセスを使った新型AI PC向けCPU「Panther Lake(Core Ultraシリーズ3)」の量産をすでに開始しています。

2026年第2四半期時点で18Aの歩留まりは約85%まで改善し、生産量は目標を約25%上回るペースとなりました。さらに大手クラウド事業者との製造委託契約も確定しており、自社製品だけでなく外部顧客向けの受託生産という「ファウンドリ事業」としての実績が積み上がり始めています。もっともファウンドリ事業単体では依然として21億ドルの営業赤字を計上しており、黒字化までにはまだ時間がかかる見通しです。

政府・NVIDIA・SoftBankから合計159億ドル超の出資

インテルの復活を語るうえで欠かせないのが、2025年に相次いで決まった大型出資です。

・米国政府:CHIPS法の補助金を株式に転換する形で約10%の株式を取得
・NVIDIA:50億ドルの資本出資を実施(2025年発表)
・SoftBank:20億ドルの投資契約を締結(2025年9月完了)
・3社合計で159億ドルを超える新規資金がインテルに投入された

半導体の国内生産を安全保障上の重要課題と位置づける米国政府と、AI半導体でインテルとの協業余地を探るNVIDIA、そして戦略的投資を得意とするSoftBankという組み合わせは、一民間企業への出資としては極めて異例です。この資金は18Aプロセスや次世代「14A」プロセスへの巨額投資に充てられており、短期的な株価下支え効果だけでなく、中長期の技術開発資金としての意味合いも大きいといえます。一方で、政府や特定企業が大株主となることで、今後の経営判断の独立性や希薄化への影響を懸念する声もあります。

株価・投資判断のポイント

2026年9月4日時点のインテル株価は1株95ドル台で推移しており、52週間の値幅は23.75ドル〜142.35ドルと非常に大きな変動を見せています。アナリストの投資判断は「中立(ホールド)」が中心で、目標株価は100〜107ドル程度が目安とされています。GAAPベースでは直近赤字が続いているため一般的なPER(株価収益率)による比較は難しく、non-GAAP収益や事業ごとの進捗を確認しながら判断する必要がある銘柄です。

投資を検討する際は、次のような点を継続的にチェックすることをおすすめします。

・18A/14Aプロセスの歩留まりと外部顧客獲得がさらに進むか
・Intel Foundry事業の赤字幅が計画どおり縮小しているか
・データセンター向けAI関連製品でNVIDIA・AMDとの差をどこまで縮められるか
・政府保有株式の存在が今後の資本政策や経営判断に与える影響
・PC市場の需要動向とArm系CPUとの競争激化

株価のボラティリティが大きい銘柄であるため、一括投資よりも時間を分散した買い方や、四半期ごとの進捗確認を前提とした長期保有スタンスが向いていると考えられます。

まとめ

インテルは、長年の技術的な遅れとファウンドリ事業の赤字という重い課題を抱えながらも、2025年以降の異例の出資と18Aプロセスの量産成功によって、復活への足がかりをつかみつつあります。2026年第2四半期決算はnon-GAAPベースで市場予想を大きく上回り、データセンター事業も二桁成長を記録しました。一方でファウンドリ事業の黒字化や政府出資に伴うガバナンス面の論点など、注視すべきリスクも残ります。半導体業界の勢力図を左右しかねないインテルの動向は、今後も米国株投資家にとって重要な観察対象となりそうです。


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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。

タグ: #インテル #半導体 #AI関連株 #企業分析シリーズ #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ

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とびー
この記事の執筆者:とびー米国株長期投資家

投資歴5年以上の米国株長期投資家。「東京米国株クラブ」の主宰。投資=ギャンブルだと思い大損する失敗を経験するも、企業分析(財務諸表の徹底的な読み解き)に基づいた長期投資へシフトし、5年間で+1300%超(約13倍)の実績を達成。2026年7月にはサイドFIRE(経済的自立)を達成。現在はサラリーマン・事業主として多忙な日々を送りつつ、初心者向けの投資セミナーを東京・オンラインで開催中。

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