カテゴリ:米国ETF・出口戦略・資産形成
はじめに|「買ったら終わり」ではない、ETFの出口戦略
これまでの米国ETF入門シリーズでは、ETFの選び方や積立投資、税金の仕組みなど「買う」ことを中心に解説してきました。しかし、資産形成において同じくらい大切なのが「取り崩し方」です。今回は、長期で積み立ててきた米国ETFをどのように売却し、生活費に充てていくかという「出口戦略」について解説します。
出口戦略とは何か
出口戦略とは、積み立ててきた資産をいつ、どのくらいのペースで売却し、現金化していくかという計画のことです。積立期(資産を増やすフェーズ)とは異なり、取り崩し期(資産を使うフェーズ)には、暴落のタイミングで多く売ってしまうと資産の寿命が縮んでしまうという特有のリスクがあります。出口戦略を事前に決めておくことで、感情に流されず計画的に資産を使っていくことができます。
代表的な取り崩しの考え方
取り崩し方には、主に次の3つのアプローチがあります。
・定率取り崩し:資産残高に対して毎年一定の「割合」を売却する方法
・定額取り崩し:毎年(毎月)決まった「金額」を売却する方法
・配当インカム型:ETFを売却せず、分配金だけで生活費をまかなう方法定率取り崩しは資産が減れば取り崩し額も減るため資産が尽きにくい一方、受け取る金額が市況によって変動します。定額取り崩しは毎年の生活設計がしやすい反面、暴落時に資産を大きく減らすリスクがあります。配当インカム型は元本を取り崩さない安心感がある一方、高配当ETFに偏りすぎるとポートフォリオ全体の成長性が下がる点に注意が必要です。
「4%ルール」とは
米国で広く知られている取り崩しの目安に「4%ルール」があります。
4%ルールの考え方:
・資産の4%を毎年取り崩しても、株式・債券に分散投資していれば
資産が尽きにくいとされる経験則
・米国の historical data(過去の市場データ)をもとにした研究がベース
・あくまで目安であり、将来の市場環境を保証するものではないたとえば5,000万円の資産があれば、年間200万円(月あたり約16.7万円)を取り崩す計算になります。ただし、この数値は米国市場を前提とした研究であり、為替変動や日本の税制、インフレ率の違いも踏まえて、自分に合った取り崩し率を検討することが大切です。
出口戦略で注意したいリスク
取り崩し期に特に意識しておきたいのが「シークエンスリスク(順序リスク)」です。
・シークエンスリスクとは、取り崩しを始めた直後に市場が暴落すると、
同じ平均リターンでも資産の寿命が大きく縮んでしまうリスク
・積立期は下落局面でも「安く買える」ためプラスに働きやすいが、
取り崩し期の下落は資産を減らす方向に直接影響する
・暴落時には取り崩し額を一時的に減らす、
現金や債券ETFを一定割合確保しておくなどの対策が有効このリスクに備えるため、生活防衛資金として数年分の生活費を現金や短期債券で確保しておく方も少なくありません。
取り崩し方法の比較
出口戦略を考える際のポイント
出口戦略を立てる際は、以下の点もあわせて検討しましょう。
・新NISA口座と課税口座(特定口座)のどちらから取り崩すか
→ 非課税枠を長く活用するため、課税口座から優先的に取り崩す考え方が一般的
・取り崩しのタイミングを一時期に集中させず、時間分散する
・生活費の変化(退職、年金受給開始など)に合わせて取り崩し額を見直す
・為替レートが円安の局面を活用して売却タイミングを調整する視点も持つ新NISAの非課税枠は一度売却すると当年分の枠が復活しない点にも注意しつつ、長期的な視点で取り崩し計画を組み立てることが重要です。
まとめ
米国ETFへの投資は「買って終わり」ではなく、資産をどう使っていくかという出口戦略まで考えて初めて完結します。定率・定額・配当インカムという3つの取り崩し方の特徴を理解し、シークエンスリスクにも備えながら、自分のライフプランに合った取り崩し方を検討してみましょう。
関連記事
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。
タグ: #出口戦略 #取り崩し #米国ETF入門 #資産形成 #投資初心者 #東京米国株クラブ
