カテゴリ:米国株投資・税金・確定申告
はじめに|リード文
米国個別株投資シリーズもいよいよ8回目です。これまで銘柄選びからスクリーニング、決算分析、売買タイミング、ポートフォリオの組み方まで一通り解説してきました。今回は多くの方がつまずきやすい「税金」について取り上げます。譲渡益や配当金にどんな税金がかかるのか、確定申告は必要なのか、新NISA口座をどう使えば税負担を抑えられるのか、順番に整理していきましょう。
米国個別株投資でかかる税金の全体像
米国個別株に投資すると、主に次の2つの場面で税金が発生します。
1. 譲渡益(キャピタルゲイン):株を売却して利益が出たとき
2. 配当金(インカムゲイン):企業から配当を受け取ったときこの2つは課税の仕組みが異なるため、それぞれ分けて理解しておくことが大切です。
譲渡益(キャピタルゲイン)にかかる税金
米国株の譲渡益については、米国側では原則として税金がかかりません。日本の非居住者に対する米国株の売却益は、米国の課税対象外とされているためです。そのため、譲渡益に対しては日本国内の税金のみを考えれば大丈夫です。
特定口座(源泉徴収あり)や一般口座で保有している場合、譲渡益には約20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の税金がかかります。特定口座(源泉徴収あり)であれば、証券会社が自動的に税金を計算して納めてくれるため、原則として確定申告は不要です。
配当金にかかる税金と二重課税
配当金については少し複雑です。米国企業から配当を受け取る際、まず米国側で10%の税金が源泉徴収されます(租税条約適用後の税率です)。そのうえで、日本側でも約20.315%の税金がかかるため、結果的に「二重課税」の状態になってしまいます。
この二重課税を調整する仕組みが「外国税額控除」です。詳しい仕組みは米国高配当株シリーズの記事でも解説していますので、あわせてご確認ください。
外国税額控除の仕組み
外国税額控除とは、米国で源泉徴収された10%分の税金を、確定申告によって一定の範囲内で取り戻せる制度です。仕組みを簡単にまとめると次のようになります。
・米国で源泉徴収された10%分を「外国所得税額」として申告する
・所得税額から一定の限度額の範囲内で差し引くことができる
・限度額を超えた分は翌年以降3年間繰り越し可能
・特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告をすれば適用できる注意したいのは、外国税額控除を受けるには確定申告が必須という点です。特定口座で自動的に税金が計算されていても、外国税額控除だけは自分で申告しない限り適用されません。配当金額が大きくなってきた方は、確定申告での還付を検討する価値があります。
特定口座・一般口座・新NISA口座の使い分け
どの口座で米国個別株を保有するかによって、税金の扱いは大きく変わります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
新NISA口座では譲渡益も国内の配当課税も非課税になりますが、米国側で源泉徴収される10%分は非課税にならず、かつ外国税額控除の対象にもならない点に注意が必要です。とはいえ、国内約20.315%の課税がまるごと非課税になるメリットは大きく、長期保有を前提とする個別株投資では新NISA成長投資枠を優先的に活用するのが基本戦略といえます。
確定申告が必要なケース
次のようなケースでは確定申告を検討する価値があります。
・配当金にかかる外国税額控除を受けたい場合
・特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で取引している場合
・複数の証券会社の損益を通算したい場合
・譲渡損失を翌年以降に繰り越したい場合(譲渡損失の繰越控除)一方で、特定口座(源泉徴収あり)のみで取引していて、外国税額控除も特に必要ないという方であれば、確定申告をしなくても問題ありません。ご自身の投資状況に合わせて判断しましょう。
まとめ
米国個別株投資の税金は、譲渡益は原則として日本国内の課税のみ、配当金は米国と日本の二重課税になるという点がポイントです。二重課税は外国税額控除で調整できますが、確定申告が必要になることを覚えておきましょう。そして何より、新NISA成長投資枠を使えば国内課税分がまるごと非課税になるため、個別株投資を始める際はまず新NISA口座の活用を検討してみてください。税金の仕組みを理解しておくことで、手取りのリターンを最大化しながら安心して長期投資を続けられます。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資勧誘ではありません。投資は自己責任のもとで行ってください。制度の詳細は金融庁公式サイトをご確認ください。
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